中国語と台湾語の違いについて「どちらを勉強すればいいの?」と迷う方は多いのではないでしょうか。
私自身、日本人として中国に10年間住み、中国語を実務・生活の両方で使ってきました。
この記事では「実際に使えるかどうか」という実用面に絞って、中国語(普通語)と台湾で使われる言葉の違いを整理します。記事を読めば旅行や仕事、学習目的に応じて、どちらを選ぶべきか判断できるようになります。
結論から言うと、中国語と台湾で主に使われている台湾華語には大きな違いはありません。「中国語」をマスターすれば、中国大陸でも台湾でも使える言語が習得できます。
中国語と台湾華語はどちらを勉強してもコミュニケーションが取れる

中国語と台湾で主に使用されている台湾華語は大まかに言えば同じ言語です。どちらか一つを習得すれば、中国大陸と台湾のどちらで使ってもコミュニケーションが取れます。
ただし、中国語と台湾華語にもいくらかの違いがあるため、用途によって学ぶ言語を決めることがおすすめです。大陸や海外の華僑など、中華圏全般の人とコミュニケーションをとることが目的であれば、中国普通語が適しています。初めに中国普通語をマスターしてから、必要に応じて繁体字や発音など台湾華語のための学習をすることも可能です。
一方、主に台湾で使うことが学習目的の場合は初めから台湾華語を学びましょう。台湾現地で使われる発音や言い回しをマスターすれば、より現地の人と馴染みやすくなるからです。
中国語と台湾華語の違いは4つ

中国語と台湾華語はほぼ同じ言語なので、中国普通語を習得すれば台湾でも十分にコミュニケーションが取れます。ただし、以下の点では違いがあるため注意が必要です。
- 文字の違い
- 発音の違い
- 発音記号の違い
- 単語の違い
文字の違い

中国大陸では「簡体字」を使用するのに対し、台湾華語は「繁体字」を使用します。繁体字は台湾の他、香港やマカオなどでも使用されています。繁体字は画数が多いのが特徴で、日本人にとっては省略化された簡体字よりも意味を予測しやすい文字です。
発音の違い
台湾華語は中国普通語に比べて発音が平坦なため、日本人にとって習得しやすいとされています。中国普通語を習得する際、多くの日本人がつまずきやすい発音は以下のとおりです。
- R音
- そり舌音
- 軽声
- 鼻母音
主に台湾で中国語を使う場合、日本人が苦手とする発音を習得しなくても困らないのは嬉しいポイントです。ただし、中国大陸でも中国語を使用する場合は相手に正確に聞き取ってもらうために、R音やそり舌音などもマスターする必要があります。
また、単語によっては普通語と台湾華語で読み方自体が違うものもあるので注意が必要です。
発音記号の違い
中国大陸ではピンインと呼ばれる発音記号を使うのに対し、台湾では注音符号を使用する人が多いです。ピンインはローマ字に似たアルファベット表記ですが、注音符号は「ㄅㄆㄇㄈ」のような記号なので改めて学習しなければ読めません。
スマホやパソコンの入力ではピンインで繁体字を入力できるので、注音符号がわからなくても普段困ることは少ないでしょう。ただし台湾人に漢字の読み方を聞くと注音符号で答えられ、理解できない場面が生じるかもしれません。
単語の違い
中国語と台湾華語では、使う単語自体が異なるものもあります。例えば中国大陸ではタクシーのことを「出租车」というのに対し、台湾では「計程車」といいます。台湾に行くときは、台湾独自の言い方を覚えておくと戸惑わずに済むでしょう。
台湾で使われている言語は3種類ある

台湾の文化をより深く知るためには、言語文化を理解しておく必要があります。台湾で使われている言語は以下の3種類に分けられます。
- 台湾華語
- 台湾語
- その他の言語
台湾華語
台湾華語は中国大陸で使用されている普通語とほぼ同じ言語です。台湾華語は、台湾国内では「國語」「中文」と呼ばれることもあります。台湾華語は台湾(中華民国)の標準語で、中国大陸で使われている中国普通語を使って台湾でもコミュニケーションがとれます。
台湾人にとって台湾華語は、日常生活や教育、ビジネスなど、社会のあらゆる場面で使われる共通語です。学校教育では台湾華語が基本となっており、多くの台湾人にとって最も読み書きに慣れた言語でもあります。一方で、家庭内や地域社会では台湾語や原住民語が使われることも多くあります。台湾華語は「母語」というよりも、複数の言語を使い分ける中核的な存在です。
また、台湾華語は中国大陸の普通語とほぼ共通していながらも、発音や語彙、言い回しに台湾独自の特徴があります。そのため台湾人にとって台湾華語は「中国語と同じもの」ではなく、台湾の歴史や文化、アイデンティティを反映した「自分たちの言葉」として意識される側面もあります。
台湾語

台湾語は「台語」とも呼ばれる言語で、中国福建省の南部で古くから使われてきた「閩南語(びんなんご)」をルーツとしています。台湾国内では南部地方で高齢者を中心に使用されています。中国普通語と文法的な共通点もありますが発音はかなり異なるため、普通語話者との意思疎通は困難な言語です。
台湾語は旅行や一般的な仕事で必須というわけではありませんが、台湾の文化を理解するうえでは重要な言語です。例えば台湾の歴史や庶民文化に深く触れたい人、ローカルな映画やドラマ、音楽をより原語に近い形で楽しみたい人は台湾語の知識があると理解の幅が広がります。また、地方都市や南部地域で長く滞在する人、高齢者と交流する機会が多い人は簡単な台湾語を知っているだけでも距離が一気に縮まることがあります。
その他の言語
台湾には多くの民族ルーツが存在しており、多彩な言語が使われています。台湾には16の原住民族が公式に認定されており、それぞれが独自の言語を受け継いでいます。原住民語は系統的にも中国語とは異なり、台湾の文化的多様性を象徴する存在です。
また、日本統治時代に教育を受けた高齢者の中には、日本語を流暢に話す人もいます。多言語社会である台湾の背景を理解することで、複雑かつ豊かな歴史に触れることができます。
台湾旅行の時に覚えておきたい単語・フレーズ

中国語と台湾華語では、異なる単語やフレーズがあります。ここでは、台湾旅行に役立つものをまとめましたので、参考にしてください。
| 日本語 | 台湾華語 | 中国語(普通語) |
|---|---|---|
| おはよう | 早安(zǎo ān) ザオアン | 早上好(zǎo shang hǎo) ザオシャンハオ |
| ご飯は食べましたか? | 吃飯了沒?(chī fàn le méi) チーファンラメイ | 吃饭了吗?(chī fàn le ma) チーファンラマ |
| ありがとう | 多謝(duō xiè) ドゥオーシィエ | 谢谢(xiè xiè) シィエシィエ |
| どういたしまして | 不會(bú huì) ブホイ | 不客气(bú kè qi) ブークーチ |
| すみません | 歹勢(dǎi shì) ダイシー | 不好意思(bù hǎo yì si) ブーハオイース |
| 地下鉄 | 捷運(jié yùn) ジエユン | 地铁(dì tiě) ディーティエ |
| バス | 公車(gōng chē) ゴンチュー | 公交车(gōng jiāo chē) ゴンジャオチュー |
| チャージ | 儲(chǔ) チュー | 充值(chōng zhí) チョンジー |
| タクシー | 計程車(jì chéng chē) ジーチョンチュー | 出租车(chū zū chē) チューズーチュー |
| 自転車 | 腳踏車(jiǎo tà chē) ジャオターチュー | 自行车(zì xíng chē) ズーシンチュー |
表の単語をすべて覚える必要はありませんが、中国語と台湾華語の違いだけでも知っておくと便利です。
一般的な会話のフレーズを知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
中国語・台湾華語は香港で使える?

香港では全体人口の9割ほどの人が広東語を母語としています。中国普通語と台湾華語はほぼ同じ言語と言ってもよいくらい近いですが、広東語は大きくかけ離れた言語です。しかし、香港では多くの人が第二・第三言語として中国普通語を話します。そのため、旅行やビジネスで香港に行く場合、中国普通語が話せれば基本的なコミュニケーションには困りません。
香港では、台湾華語の独特な言い回しよりも中国普通語のほうが通じやすいです。また、香港では文字は繁体字を使用している点にも注意しましょう。
中華圏の人と接する際の使い分けのコツ

中華圏と一言でいっても、中国大陸や台湾、香港などの地域を含めた異なる言語や文化が存在します。中華圏の様々な人と接する機会がある場合は、以下のポイントに注意するのがおすすめです。
- 商材の表記は特に注意する
- 普通語をメインに他の言語も使い分ける
- 流行語は意味の違いに気を付ける
商材の表記は特に注意する
中華圏向けのビジネスをおこなう際は、商材の表記に特に注意が必要です。中国大陸やシンガポールでは主に簡体字が使われ、台湾・香港・マカオでは繁体字が使われています。簡体字と繁体字を混用してしまうと、どちらの文化圏の人から見ても「現地理解が浅い」「細部まで配慮できていない」と受け取られやすく、信頼性を損なう原因になります。
特に商品名やサービス説明、契約書、広告コピーなど、相手の判断や購入意欲に直接影響する部分では、表記の違いが企業姿勢の評価につながります。両地域に向けたサービスを展開する場合は、簡体字版と繁体字版をそれぞれ用意し、表記だけでなく言い回しや用語の選び方もターゲットに合わせて調整しましょう。
見た目が似ている漢字でも意味や使われ方が異なる場合があるため、自動翻訳だけに頼らず、可能であればネイティブチェックを入れると安心です。中華圏では「文字への配慮=相手への敬意」と受け取られる傾向が強いため、表記を正しく使い分けることが、円滑な信頼関係構築の第一歩になります。
中国普通語をメインに他の言語も使い分ける

中国普通語は中華圏の中で最も使用人口が多く、学んでおけばとても汎用性の高い言語です。中国大陸だけでなく、台湾やシンガポール、海外の中華系コミュニティでもコミュニケーションが取れるため「まずは中国普通語」という選択は合理的です。
一方で、距離を縮めたい場面や相手との関係性を深めたい場合には、相手の背景に合わせて台湾華語や台湾語、広東語などを使うと親しみや敬意が伝わります。「自分たちの文化を理解しようとしてくれている」と感じてもらえるため、会話の空気が和らげられます。
特に香港では、歴史的・社会的背景から中国普通語に対して複雑な感情を持つ人もおり、場面によっては英語で話しかけたほうが好意的に受け取られるケースもあります。中華圏といってもさまざまな文化背景や事情があるため、言語選択には相手や状況への配慮が欠かせません。複数の文化圏の人と接する機会がある方は、まず中国普通語を軸にしつつ、相手の出身地や反応を見ながら柔軟に言語を切り替えることがおすすめです。
流行語は意味の違いに気を付ける
中国普通語、台湾華語、広東語は同じ漢字文化圏に属していますが、地域によって言葉が持つニュアンスが大きく異なります。流行語やネットスラングは、土地の社会背景や若者文化と強く結びついているため、別の地域では意味が通じなかったり、意図しない印象を与えたりすることもあります。
例えば中国大陸で広まったネットスラングを台湾で使った場合、「古い」「意味がわからない」と受け取られる場合があるため注意が必要です。政治的・社会的な文脈を連想させてしまうと、相手との関係にも影響が及びます。台湾発の表現を大陸で使うと、内輪ネタのように感じられるケースもあります。
また、砕けすぎた表現や皮肉、強い感情を含む流行語はビジネスや初対面の場では不適切です。親しみを込めたつもりでも、相手によっては軽率、あるいは失礼だと受け取られてしまうこともあります。
流行語を使ってみたい場合は「どの地域で」「どの世代に」「どんな場面で」使われているのかを事前に調べ、慎重に言葉を選ぶことが大切です。関係性が深まってから相手の言葉の使い方を真似るようにすると、余計な誤解を避けられて安全です。
中国語と台湾語の違いを知って中華圏コミュニケーションに役立てよう!

中国語と台湾華語はほぼ同じ言語のため、片方をマスターしておけば中国大陸と台湾のどちらでもコミュニケーションに困ることはありません。ただし、中国語と台湾華語の間には発音や文字、表現の違いなどがあります。中華圏全域で使用する可能性がある場合は、中国普通語を学ぶほうが汎用性が高く便利です。台湾メインで使用する予定であれば初めから台湾華語を学ぶこともできます。
この記事を参考に、中華圏の方々との交流や文化理解に欠かせない中国普通語もしくは台湾語を学んでみてください!